RESEARCH REPORT #02 ドライブを「デザイン」する

自動車がもたらした橋の新たな体験

 つくる技術という面から見ても橋は特別な地位を占めている。今も昔も橋梁設計は構造物設計・施工の基本にして花形だ。それは「柱を立て梁を渡す」という行為が重力に対する人間の挑戦そのものだからだ。この意味において、住宅もビルも、建築はすべて橋だといえる。高速道路の高架しかり。特に高架道路を「橋」と見ると、自動車の出現が橋に新たな機能を与えたことに気づく。

 橋を利用する側の観点から見た場合、自動車が橋の世界にもたらしたもっとも画期的な出来事は「橋をドライブする快楽の発見」だ。これは一見それまでにもあった「橋の上から見渡す」という行為と同じようにも思えるが、自動車のスピードがもたらす風景のダイナミズムはそれまでになかった視覚的経験だ。車窓を流れる風景に加え、密閉された室内空間の雰囲気と音楽、なにより強力な内燃機関を操作するという身体性とセットの体験は他に似たものがない。大きな橋を自動車で渡る快楽は20世紀以降に人間が初めて手に入れたものだ。コマーシャルに橋を行くシーンがよくあるのも頷ける。

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